Q.親知らず抜歯のリスクって?

今回は、親知らず抜歯のリスクをご紹介します。

1.抜歯後に起こりうるリスク6つ
2.親知らずは抜いた方が良い?
3.感覚の麻痺が起きた場合は?
4.リスクと利益を天秤にかけて判断する

1.抜歯後に起こりうるリスク6つ

医療行為には必ず、ある一定数のリスクがつきものです。
親知らずを抜歯した場合のリスクは下記6つです。

1)腫れ(抜歯後2〜3日がピーク、その後1週間程度で徐々に引いていく)
2)痛み(抜歯後2〜3日がピーク、その後1週間程度で徐々に引いていく)
3)口が開けにくい(抜歯後2〜3日がピーク、その後1週間程度で徐々に引いていく)
4)喉が痛い(抜歯後2〜3日がピーク、その後1週間程度で徐々に引いていく)
5)ドライソケット(骨が露出すること・1ヶ月近く痛むこともある)
6)口・唇・舌の感覚が麻痺する(詳細は4に記載します)

症状のほとんどが2・3日〜1週間でおさまることが多いです。
また、ロキソニンなどの鎮痛薬を服用すれば、支障があまり出ないことも多いです。

歯科医師が最も注意しているのは、感覚の麻痺です。
親知らずは他の抜歯と違って、「下歯槽神経」という神経の近くまで骨を削ることが多いです。
麻痺は抜歯の途中で、下歯槽神経を手術用の器具で切削してしまう、神経管と親知らずが接しているなどの場合に起きます。
そのため、親知らずを抜歯する前に
・どれくらい神経と親知らずが近いか
・神経管と接している場合は、神経管の変形具合はどんな感じか
をX線で見て、抜歯するかどうかの判断を行います。

三日月型のように神経管の変形が強い場合は、歯の上の部分だけ取る方法や、二段階法、という方法を検討します。
(現在、二段階法は、抜歯後感染のリスク回避などのため行っている病院も少ないようです)

2.親知らずは抜いた方が良い?

親知らずは、
A.「まっすぐに生えていない親知らず」は抜いた方が良い可能性が高いです。

理由は、下記の3つです。
1)親知らず自体がむし歯・歯周病になりやすいため
2)隣の歯がむし歯・歯周病になりやすいため
3)噛めない歯は基本的に必要ないため

実際、親知らずを残した中高年の8割近くがむし歯になっています。
機能しない歯を残したが故に、隣の歯がむし歯になるリスクを上げてしまうのは、とてももったいないです。

歯周病も同様で、放置すればするほど悪化しやすく、親知らずの多くが歯周病で腫れて抜歯が必要になります。
これらの症状が出るほとんどは「まっすぐ生えていない親知らず」ことが原因です。

3.感覚の麻痺が起きた場合は?

人により抜歯後5時間程度、麻酔が効き続ける方もいます。

ですが、
・抜歯した次の日になっても痺れた感じが取れない
・唇〜顎の皮膚を触った感覚が鈍い、またはない
・知覚過敏になった
・親知らずより手前の歯の違和感
・知覚過敏になった
といった症状がある場合は、神経の麻痺が疑われるので、すぐにその旨を主治医に伝えましょう。
その後は、神経の損傷具合で対応が変わります。

1)術後の腫脹で神経を圧迫している場合

治癒過程で血液が歯の抜けた穴に溜まり、それが露出した神経を圧迫することがあります。
基本的にはメチコバール(ビタミンB12製剤)という薬を処方し、数日でおさまっていきます。

2)神経のが部分損傷している場合

神経が部分的に歯と癒着していると、抜歯する際に神経の一部が親知らずについていってしまい、損傷したり、抜歯時に神経管の薄い骨が折れて、それが神経の一部を損傷したり、といった抜歯時の動作によって起きます。

こちらも、まずはメチコバールを処方し、治癒をさらに促進するために、「星状神経節ブロック」という注射を行ったりすることもあります。
(治癒期間は6~18ヶ月程度必要と言われています)

3)神経が断裂している場合

切削器具や刃物によって切断されることで起きます。
術後なるべく早く、神経をつなぐ処置が必要です。
しかし、大学病院などの専門的な機関での処置が必要で、タイミングを逸してしまうことも多いです。
他の治療法は、部分損傷の場合と同じ、メチコバール(ビタミンB12製剤)を処方し、「星状神経節ブロック」という注射をおこなったりします。
こちらに関しては、完全な治癒は見込めないとされています。

4.リスクと利益を天秤にかけて判断する

親知らずは、ただ闇雲に真横に、生えた親知らずだから抜歯した方がいい、というわけではありません。
抜歯しようとしている親知らずと、神経との距離の近さによって状況が変わりますし、年齢が高いほど、抜歯の難易度は上がります。
歯科恐怖症がある場合は、トラウマになってしまうこともあったり、全身疾患がある場合は合併症の危険性もあります。
これらのリスクをなるべく回避する方法は、年齢が若いうちに相談しておく、ということです。
若ければ年齢による難易度の上昇もなく、全身疾患の割合も少ないです。
神経管の変形が三日月型の場合の二段階法という方法も、若年層の方が成功しやすいです。

また、部分損傷した場合も、若年層の方が回復が早いです。
相談せず放置してしまい、隣の歯はむし歯にもなってることが多く、親知らずも痛くて抜かないといけない、という状況が最も最悪です。
まずは、お近くの親知らず抜歯を行なっている歯科医院で相談することをおすすめします。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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