今回は、麻酔が効きにくい人がいる?という、皆さんの日頃の疑問についてご紹介します。
1.麻酔が効きにくい人
2.麻酔が効きにくい部分
1.麻酔が効きにくい人
1)歯周病が進行している場合
歯周病が進行している方は、麻酔が効きにくい傾向があります。
それには、pHが関わっています。
pHが低いと酸性で、pHが高いとアルカリ性です。
歯ぐきが炎症を起こしていると、歯ぐきの環境は酸性になっています。
多くの歯科医院で使用している麻酔は、一般的にはアルカリ性です。
歯ぐきがアルカリ性になることで、麻酔が効きやすい環境になります。
しかし、炎症がある環境下で麻酔しても、酸性とアルカリ性が中和してしまい、あまり麻酔が効かない状態になってしまいます。
麻酔が必要な処置を行う前に、お口の環境を清潔にし、むし歯・歯周病を改善することが大切です。
2)急性症状で痛みが強い場合
急性症状とは、炎症が原因で痛みが生じている状態です。
急性症状は、大きく分けて2つの状態があります。
・歯や歯ぐきの周囲に強い炎症がある場合
・膿が溜まっている箇所がある場合
上記の場合は、麻酔が効きづらいことがあります。
炎症や膿が溜まっている箇所があると、その部分が健康な歯ぐきの人より、弱い刺激でも【痛い】と感じやすくなってしまいます。
普段からのケアで、炎症・膿が溜まる箇所がないようにすることが大切です。
また、治療中に痛みを繰り返した状態で追加で麻酔をしても、あまり麻酔が効かないこともあります。
これは痛みによるストレスが原因で、脳の痛みに対するフィルター処理が低下し、痛みを感じやすくなることが要因です。
緊張の程度が強い場合などでも痛みに対し敏感となり、麻酔の効果が十分に得られないことがあります。
麻酔を効かせるときは、痛いと感じさせないことが大事です。
1回痛みを感じると、人の脳は痛いと記憶されてしまいます。
痛みを感じやすい人には、麻酔を量を増やすような処置を行います。
緊張やストレスを感じないような環境・状態も、麻酔が効きやすくなるために必要なことです。
2.麻酔が効きにくい部分
麻酔の段階で、部位により、局所麻酔薬の効果が十分に得られない場合もあります。
下の奥歯など、麻酔の効果が浸透しにくい部分があります。
特に下顎は、他の部分よりも骨の密度が高いため、麻酔が効きにくいと言われています。
麻酔は、歯に直接麻酔するわけではありません。
骨の外側の、粘膜と骨の隙間に、麻酔をします。
麻酔が効くメカニズムは、麻酔液が無数の穴が開いている骨から段々染み込んで、やがて歯に到達する、という仕組みです。
例えば骨が厚く、穴が少ないところは、麻酔液がなかなかしみ込みこんでいきません。
上顎の骨に比べて、下顎の骨は非常に密になってるため、下顎の歯は上顎の歯に比べて麻酔が効きにくいことがあります。
麻酔が効きやすい、効きにくいという違いは、このようなものがあります。
治療の部位だけでなく、ご自身のお口の病気によるものでも左右されます。
普段から口腔内ケアを心がけて、清潔な環境にしておきましょう
栗林歯科医院 歯科医師 金箱監修