根管治療~知っておきたい3つの知識~

栗林歯科医院の根管治療の流れ

今回は根管治療の流れについて説明します。

1.根管治療とは

根管治療とは、いわゆる歯の根っこの治療です。
根管は歯の根の中の神経や血管など(あわせて歯髄と呼ばれます)が通っている管のことを言います。
根管治療は、歯髄が炎症や感染を起こした時に必要になります。
原因は深い虫歯、歯の亀裂、外傷などです。
炎症や感染をそのまま放置しておくと、歯が痛んだり、根の周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたりします。
場合によってはリンパ節が腫れたり発熱したりと全身的にも影響が出ることもあります。
根管治療によって、これらの症状が軽減したり、治癒したり、予防できたりするのです。
根管治療では、痛んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、再度の感染を防ぐために根の中に詰め物をします。このように歯髄を除去する治療法を抜髄と呼びます。
一方、以前に根管治療が終了している根が再び感染してしまった場合にも、根管治療が行われます。この場合の治療法は、感染根管治療と呼ばれます。

日本歯内療法学会、歯内療法に関するQ&A 引用

患者様に根管治療をする(歯の神経を取る)必要があると説明したあと、
「歯を抜くということですか?」
ということを質問する方がとても多いですが、抜歯ということではなく、歯を保存して長生きさせる治療法なのです。
歯を一本でも多く残すことは、健康寿命が長くなります。

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2.根管治療の流れ

1)虫歯菌(感染源)の除去、根管治療の前準備

まず根管治療を始める前に、原因となる虫歯菌をしっかりと除去しなくてはなりません。
虫歯菌が残っている状態で歯の中の神経に触れると、菌が根管の中に多く侵入してしまいます。
患者様から
「こんなに歯を削って大丈夫なの?」と心配されますが、それだけ虫歯菌が進行しているということなのです。
虫歯菌の範囲が狭い場合は、ご自身の歯(歯質)の量が残ることがありますが、虫歯菌が広範囲で歯質があまり残っていない場合は、根管治療の前準備として『隔壁』を行います。
これは、歯の根っこだけになったところにプラスチックの材料(レジン)を壁みたいに作る方法です。
目的は、唾液の中にもバイ菌が多数いるため、治療の際に根管の中に唾液の侵入を防ぐことと、薬がお口の中に漏れるのを防ぐ役割をしています。
ここまでが根管治療の前準備です。


上の写真は隔壁を作製中のものです。

2)根管洗浄と薬剤(貼薬)

根管治療を始める前には必ず『ラバーダム防湿』を当院では行っています。
これは治療する歯にクランプという金属のバネをかけ、お口全体をゴムのシートで覆うやり方です。
目的は

①無菌処置が可能・・・唾液の中に含まれるバイ菌の侵入を防ぐ
②術野の明示・・・ラバーダムがなければ舌や頬を片手で抑える必要がありますが、ラバーダムをすることで治療する歯を邪魔されず両手が使えます。
③防湿ができる・・・乾燥した環境下で治療が可能になる。
④器具の誤飲を防ぐ・・・治療に使用する器具の誤飲を防ぎます。
⑤強い殺菌力の消毒液が使える・・・治療する歯の周りの軟組織に強い殺菌力の消毒液が漏れたりすることを防ぎます。
⑥周囲組織の保護・・・治療に使用する器具による軟組織に傷がつくことを防ぎます。

とメリットがたくさんあります。
世界的にも行われており、根管治療の成功率を上げる方法です。
下の写真はラバーダム防湿を行なっているものです。

このラバーダム防湿をした状態で、根管の中にある神経・バイ菌をファイルという金属の針で取り除きます。(機械的清掃)
次に殺菌効果の高い薬液で根管の中を洗浄し、バイ菌の数を減らします。(化学的洗浄)
この機械的清掃と化学的洗浄を交互に行い、根管の中を乾燥させた後、体に優しいカルシウムの薬剤を根管の中に入れます。(貼薬)
この機械的清掃・化学的洗浄・貼薬を行うことで根管の中が清潔(無菌化に近く)になりますが、1回の治療だけで清潔になるのは難しいため、期間をあけて再度治療を行います。
目安として1〜3週間あけて約6回程度、と患者様に説明しています。

また根管は直経1mm以下と非常に細く、しかも硬くなった部分や、わん曲しているものがあります。
さらに根管の形は非常に複雑で、 1本の歯に1〜5の根管が複数ある場合があります。
根管治療ではこれら根管に対して、小さな器具を完全に通過させ清掃し、根管の中の形態を整えます。何回も歯医者に通わないといけないと感じると思いますが、非常に高度で地道な作業が行われます。

根管は上の図のように複雑にあります。これをすべて触るのはとても難しいです。

3)根管充填

根管の中が清潔になったら、そこに根管充填材という薬剤を入れます。
神経を取った根管の中は空洞の状態なので、このままですとバイ菌が再度繁殖します。
それを防ぐために根管充填材を入れます。


根管の中に根管充填材を入れているレントゲン写真です。
以上の1)〜3)までが根管治療の流れになります。

3.治療の選択肢・決定

根管治療の目安として1〜3週間あけて約6回程度、期間にすると1〜2ヶ月ほど必要になります。
そこまでの治療期間はかけられない場合やそもそも虫歯が進行しすぎて歯を残す・保存することが難しい場合は、抜歯するという選択肢もあります。
また歯の根っこの先に膿が溜まっているが、歯にもともとしっかりした土台と被せ物をされていてその土台と被せ物を外すと歯自体にヒビが入り、歯を残せなくなる可能性があります。
その場合、歯ぐきを切って根の先を手術する(歯根端切除術)方法もあります。
期間や費用(保険適用もしくは保険適応外)によって治療の選択肢が広がります。
そのためにはまず検査が必要で、患者様の希望に添えるよう担当医としっかり相談することも大事です。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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