今年から栗林歯科医院に入社した歯科医師3年目の金箱志桜都です。
昨年まで大学病院で患者様の入院治療を担当していました。
入院して病気を治して無事に帰っていただくことが仕事でした。
その経験から今回全身疾患に関しての記事を書かさせていただいています。
目次
1)お口と全身の不調はつながっている?
2)お口の中が清掃不良で引き起こす体の不調
3)噛み合わせが引き起こす体の不調
4)持病を持っている人が歯科治療を受ける時の注意点
5)まとめ
1)お口と全身の不調はつながっている?
皆さんは、お口の健康が全身の健康とつながっているとどこかで聞いたことがあるでしょうか?
なぜ私たちは毎日歯磨きをしないといけないのでしょうか?
歯磨きをしなければ、一日に自由に使える時間が数分増えます。
あなたは何分歯磨きに時間をかけていますか?
今回は口の中の病気と体の健康について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
2)お口の中が清掃不良で引き起こす体の不調
誰だって毎日なんの不自由もなく、思い通りの毎日を過ごしたい。しかし病気になれば思い通りの生活が送れなくなります。
病気になる原因は多々ありますが、予防できる病気の代表例が生活習慣病です。その生活習慣病が、小さい労力とコストで減らせる可能性があるとしたら、それは自分の人生を豊かに生きるためにオススメします。
その小さい労力とコストできる健康対策の一例が、歯磨きなのです。
歯磨きといえば、
歯ブラシ
歯間ブラシ
舌ブラシ
フロス
などを使ってお口の中を綺麗にすることですね。
歯磨きは口のなかを磨くと食べ物のカスや、歯にひっついている細菌を落とすことになります。
つまり歯磨きをしないと細菌がどんどん増えていきます。
では増えてしまった細菌は、どんな影響を及ぼしているのでしょうか。
お口の中には約700種類、10億個の細菌がいると言われています。
まずこれらの細菌の中には、カラダに悪さをするものもいます。歯が溶かされたり、骨が溶かされたりします。これが虫歯、歯周病です。
歯がなくなれば、満足に噛むことは出来なくなりますから、食べ物をしっかり噛んで吸収することが出来なくなります。これだけでもカラダはどんどん不健康になることが容易に想像できます。
増えた細菌は、その場に口にとどまるだけでは飽き足らず移動を始めます。
肺炎
口から気道という呼吸の通り道を通って肺に移動します。肺に細菌がいると肺は炎症をおこします。これが肺炎です。肺炎は、高熱と呼吸が苦しなり死にいたる病です。
日本での疾病別死亡数の第3位は肺炎です。手術にて治療後、肺炎が原因で亡くなってしまうことが病院で時々起こります。
次に歯周病になると歯ぐきから出血します。その隙間を狙って細菌は血管の中に侵入します。
血管は頭のてっぺんから足の先まで張り巡らされています。ですから血管に乗ったお口の中にいた細菌は、どこにでも行けるのです。
糖尿病
膵臓にいけば、糖尿病を悪化させます。
糖尿病は血液中の糖分を細胞に取り込めなくなる作用のあるインスリンが出なくなったり、インスリンの効きが悪くなる病気です。
そのため血糖値は高くなり、細胞は糖が不足します。
糖尿病は腎障害や網膜症、神経症状、透析導入の入り口になる病気です。
糖尿病と歯周病には相互関係があり、歯周病が悪くなると、糖尿病まで悪くなります。
不妊や早産
子宮にいけば、不妊や早産の原因になります。
歯周病菌の毒素は子宮の収縮を促します。
そのため、不妊や早産の原因になってしまいます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症の薬を使っている方は、抜歯などの小手術以上をするときに要注意です。小手術を行うと、顎骨壊死(ARONJ)のリスクがあります。
リスクの可能性は低いのですが、万が一起きた場合は顎の骨が腐り、治りにくい顎骨壊死という病気になります。最悪、顎の骨を切り落とさないといけなくなりますので注意が必要です。
そのため骨粗鬆症になる前に抜歯しなくてはいけない歯は抜歯が必要ですし、注射薬を使い始めたら抜歯しなくてはいけなくならないように、人一倍口腔内の衛生管理が大切になってきます。
その他、様々な病気にもお口のなかの細菌が関わっていると言われています。
アメリカでは「フロスか死か」という言葉があります。上の記事を読んでくださった皆様はこの言葉の持つ意味の重さを感じてしまったかと思います。そう、普段の歯磨きや歯科医院で受ける専門的なクリーニングをしっかり受け、お口の中を綺麗にしておくかしないかで、その後の人生を大きく変えてしまうのです。
3)噛み合わせが引き起こす体の不調
噛み合わせが悪いと起きると体にどんな不調をきたすでしょうか?
口の周囲には咀嚼筋や舌骨上筋群、舌骨下筋群など口を開けたり閉じたりするのに関連する筋肉があります。
噛み合わせが悪いと左右の筋肉にかかる負担が変わります。
そうなると筋肉痛となり肩こりや頭痛として感じます。
また顎の関節に負担がかかれば顎が開かなくなったり、痛くなったりする顎関節症になります。
4)持病を持っている人が歯科治療を受ける時の注意点
持病を持っている方は安全に歯科治療を受けられるのでしょうか?
結論から言えば、専門家が連携を取って、しっかりとした治療を行えば安全に出来ます。
例えば高血圧。血圧が治療中に高ければ、血が止まらないリスクがあります。また治療の緊張が重なれば元々血圧が高い人は極限にまで血圧が上がり、どこかの血管がはち切れてしまうかもしれません。
糖尿病ではどうでしょうか?
血液中の糖分濃度が高いと、免疫細胞の1つの白血球の動きが悪くなります。そうなると細菌を捕まえる力が弱まるので、細菌が増える可能性を増やしてしまいます。ですから糖尿病があると歯周病が悪化したり、抜歯後の感染を起こしやすくなります。
腎臓病、
腎臓の機能が悪いと薬の代謝能力が落ちます。
歯科で処方する薬も腎臓の機能に合わせて量を調節しなければなりない場合があります。
もし考慮しないで投与した場合は、薬の効果が強く出てしまい、副作用が強く出たり、肝臓病、血液の病気など様々な要因が歯科治療を行う上で考慮しなければいけません。
考慮しないで治療すれば、大きなリスクになります。しかし、適切に管理すればリスクを最小限に出来ます。
私達、栗林歯科医院では、患者様が通院されている病院、クリニックとすぐさま連携を取り、より安全安心に歯科治療が行える環境を整えています。
現在通院中ではない場合で、なにか不安な点があれば、適切な医療機関に紹介状を作成します。
もし、持病がある方は私達にお伝えください。専門家が適切に判断し、患者様のリスク管理を致します。
5)まとめ
私達は世界一安心安全な医療を目指し、医療の透明化、心のサポート、確か な技術を柱とし患者様の豊かな人生の向上に貢献することをミッションとしています。
是非、私達の予防プログラムを受けてください。
10年20年後も豊かな人生を送るために、歯磨きから始める健康習慣を私達と作っていきましょう。
医療法人社団 栗林歯科医院
歯科医師 金箱 志桜都