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虫歯予防のためのおやつの工夫
小さい頃に「甘いものを食べていると虫歯になるよ」と言われた記憶はありませんか?
そして、お母さんになった今、同じことをお子さんに言っている方も多いのではないでしょうか。
おやつ=甘いものと考えていませんか?
虫歯の原因のひとつに〝食生活〟が関わっていることを前回までのブログでお伝えしてきました。
冬の乾燥を予防するために飲んでいるイオン飲料、毎日お昼に食べている菓子パン、コーヒーの砂糖…〝おやつ〟とは別に日常的に摂取している砂糖の量は意外と多かったりします。
その砂糖摂取が〝虫歯を作りやすいプラーク〟を作り、虫歯が発生していることも少なくありません。
今回は虫歯を予防する上で欠かせない「シュガーコントロール」について書いていきたいと思います。
【シュガーコントロールとは?】
虫歯菌は砂糖をえさにして酸を作り、その酸が歯を構成しているカルシウムやリンを溶かすことによって虫歯が発生すると言われています。
シュガーコントロールは糖分の摂取をコントロールすることで、虫歯菌の栄養になるものを少なくし、菌の繁殖を防ぐことが狙いです。
【砂糖摂取と虫歯】
3大栄養素(炭水化物/糖質、たんぱく質、脂肪/脂質)のうち虫歯になるのは炭水化物だけです。
炭水化物には糖質も含まれるため、その糖質が虫歯菌のえさとなり、酸を発生させ、虫歯の原因となります。糖質は主食であるお米やパン、うどんなどの麺にも含まれるため、全く食べないということはできません。そのため、ごはんとして食べている糖質以外のコントロールが虫歯を作らないための環境づくりの鍵となるのです。
【食生活とお口の中の酸性度】
虫歯菌の他に、虫歯になりやすいと言われる原因として「ダラダラ食べ」があります。
口の中は通常、唾液の力によって中性(pH7)に保たれています。歯は酸性が強い食べ物に長い時間触れていたり、唾液の分泌量が少なかったり、酸性の状態が持続すると溶けてしまうことがあります。そのため、食べ物を摂取する頻度や、普段よく口にする食べ物の性質(酸性かどうか、糖分はどれくらい含まれているか)が虫歯のなりやすさに影響してきます。下の図は、食べ物を食べてから口腔内が酸性に傾き、中性に戻る過程を図にしています。砂糖の濃度が高ければ高いほど酸性に強く下がり、中和に時間がかかります。
画像引用 「むし歯ってみがけばとまるんだヨ 削って詰めるなんてもったいない!」 岡田弥生著
お口の中を酸性の状態にできるだけさらさないこと、虫歯菌のえさである糖分摂取の量をコントロールすること、この2点がシュガーコントロールをしていく上で大切だとお伝えしました。
本来、おやつは「第4の食事」と呼ばれているように、3食の食事で補えない栄養をおやつで補うというものです。
おやつ=甘いものと考えている方もいるかと思いますが、虫歯予防をしていく上で、無理なくできるおやつの工夫はいくつかあります。
それでは、虫歯になりにくいおやつの工夫について紹介していきます。
【適切な1日の砂糖摂取量】
成人の1日の適切な砂糖摂取量はどれくらいかご存知でしょうか?
WHO(世界保健機関)は、砂糖の摂りすぎを抑えることで慢性疾患や虫歯、肥満などの予防につなげることを目的として、「成人1日あたりの砂糖摂取量は25g程度までが望ましい」とする新指針を発表しています。この数字は「糖類摂取量は1日のエネルギー摂取量の5%以下が望ましい」という指針から来たものです。
砂糖25gとはどれくらいか。
わずかティースプーン6杯程度と言われています。
糖質はほとんどの食事に含まれているので、この数値内に絶対収める!というのは難しいですが、適正値を知った上で日々の食生活を少し気にしてみる、というのが予防の第一歩となります。
【おやつの食べ方の工夫】
①あげる時間を決めましょう。
甘いおやつの時間を決めず、ダラダラ食べをすると口の中に砂糖が入っている時間が長くなり、虫歯ができやすくなります。
②1回に食べる量を決めましょう。
ダラダラ食べを防ぐために、お菓子や飲み物はコップやお皿に入れて、1日分の量を決めます。
③おやつの組み合わせを考えましょう。
ケーキ・ジュースなど甘いお菓子+甘い飲み物などといった組み合わせは避けましょう。
【歯に良いおやつ】
①カルシウムの含まれたもの
普段の食事だけで不足しがちなカルシウムをおやつで積極的に補給しましょう。
砂糖が含まれていないので虫歯予防にも最適です。
例:煮干し、チーズ、ヨーグルト、牛乳
②固いおやつ
噛む力をつけるおやつは、咀嚼機能が身につき始めた3歳くらいから積極的にあげましょう。よく噛むことであごが鍛えられます。
例:野菜スティック、りんご、するめ
③甘くないおやつ
食べ盛りの子供には、野菜や小さいおにぎりなども適しています。
栄養のバランスを考えて補いましょう。
例:さつまいも、とうもろこし、おにぎり
【ミュータンス菌と母子感染】
虫歯菌の代表としてミュータンス菌が挙げられます。
「赤ちゃんと同じ食器を使っていると虫歯菌がうつる」
「お母さんに虫歯菌が多いと子供も虫歯が多くなる」
こんな話を聞いたことがあって、気にしている方も多いのではないのでしょうか。
ミュータンス菌自体は感染力は低いですが、砂糖によって感染力が強まる細菌です。もともと虫歯リスクが高い方は少なからず細菌が存在していて虫歯の原因のひとつになっていることが考えられますが、シュガーコントロールをしていくことで、細菌の活動性を弱めることができ、感染力を弱めることができます。
子供の虫歯予防をしていく上で、家族のシュガーコントロールを行なっていくことはとても有益です。
定期検診、歯磨き、フッ素…様々な予防方法を試しているけど虫歯ができてしまう…という方は今一度普段口にしている飲み物、食べ物を見直してみてください。
何かお口のことでお困りのことがあればいつでも当院のスタッフまでお声がけください。
医療法人社団 栗林歯科医院 歯科衛生士 森 明子
記事執筆者

はじめまして。歯科衛生士の森です。 笑顔で健康に毎日を過ごすことができるように、お口の中の健康からサポート させていただきます。 患者様に安心して通っていただけるようにコミュニケーションを大切にします。 どうぞよろしくお願いいたします。