こんにちは、歯科衛生士の鶴岡です。
今日は、よく耳にする「キシリトール」が、どうして歯に良いとされているのかについて詳しくお話しします。
① キシリトールとは?
キシリトールは、白樺(しらかば)やとうもろこしなどの植物から作られる天然由来の甘味料です。見た目も味も砂糖によく似ていますが、歯への働きは全く異なります。
「甘い=むし歯の原因」と思われがちですが、キシリトールはむし歯菌が利用できない糖。つまり、むし歯のエサにならないという点が最大の特徴です。
② なぜキシリトールがむし歯予防になるの?
むし歯は、ミュータンス菌などの「むし歯菌」が糖をエサにして「酸」を作り、歯の表面(エナメル質)を溶かすことで起こります。
ところが、キシリトールはむし歯菌が代謝できないため、酸がほとんど作られないのです。さらに、長期間キシリトールを摂取し続けると、
• むし歯菌の数が減る
• むし歯菌の活動が弱まる
• 唾液の分泌が促される(自浄作用UP)
などの作用があり、むし歯の予防につながるとされています。
③ 正しい摂取方法と選び方
むし歯予防として効果を得るためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
◎摂取の目安:
• 1日3回以上(食後・間食後など)
• 1回あたり5分以上噛むこと(唾液の分泌が大切)
◎選び方のポイント:
• キシリトール含有率が50%以上(できれば100%)
• 砂糖やブドウ糖などむし歯の原因になる糖が含まれていないこと
市販の「キシリトール入りガム」の中には、ほんの少量しか入っていなかったり、砂糖が混ざっていたりするものもあるので、成分表示をよく確認することが大切です。
④ キシリトールの注意点は?
キシリトールは基本的に安全ですが、「一度に大量に摂るとお腹がゆるくなる」ことがあります(特にお子さん)。体に合った量から始めましょう。
また、キシリトールはあくまで補助的なむし歯予防です。以下の基本的なケアと組み合わせることで、より効果が発揮されます。
• 正しい歯みがき
• フロスや歯間ブラシの使用
• 定期的な歯科検診・クリーニング
⑤ 歯科衛生士からのひとこと
キシリトールは、「甘いのに歯にいい」という珍しい存在です。おやつ代わりにガムやタブレットを上手に取り入れることで、お口の健康をサポートできます。
ただし、「キシリトールを摂っていれば安心!」ではなく、普段のケアと定期的なチェックがとても大切です。