Q.親知らず抜歯後1ヶ月経っても腫れているのはどうすれば良い?

A.感染している可能性があるので、抜歯した歯医者さんに行きましょう。

1.痛みと腫れのピーク
2.痛み・腫れ以外の症状
3.麻痺が起きた場合
4.親知らずは抜いた方が良いか?

1.痛みと腫れのピーク

1)痛みのピーク

親知らず抜歯後の痛みの具合も、個人差があります。
抜歯後2〜3日が痛みのピークで、その後1週間程度で徐々に引いていきます。

抜歯中は麻酔をするので、痛みは感じません。抜歯している途中で痛い場合は、そのまま続けずに麻酔を追加するため、追加した後は痛みを感じなくなります。

ですが、抜歯が終わって麻酔が切れた後、傷口が治癒していく過程で腫れます。
その時の腫れた圧によって痛みが出ます。

喉が腫れると痛いように、抜いた箇所の付近が治る時に腫れて痛みます。抜歯後は、ロキソニンなどの痛み止めを服用して、2〜3日は痛みを感じにくい状態にします。

ですが、抜歯した後1ヶ月近く、抜歯した部分が痛むこともあります。
通常は、抜歯した後、その穴に血液が溜まってモチ状になり、血管や細胞が作られて傷口が治ります。しかし、抜歯した後の骨が露出してしまい、骨が細菌感染してしまうと、抜歯した部分が痛むこともあります。
その状態を「ドライソケット」と言います。
この場合は、早めに抜歯した歯医者さんに行きましょう。

2)腫れのピーク

親知らず抜歯後の腫れ具合は、個人差があります。抜歯後2〜3日が腫れのピークで、その後1週間程度で徐々に引いていきます。
抜歯後に腫れる人・腫れない人の違いがあるのは、親知らずの生え方が違うからです。抜歯時に、骨を削った部分が多い人ほど腫れます。
親知らずは、骨の中に埋まっていることが多いため骨を削って歯を抜歯しますが、親知らずの生え方は人によって違うので、抜歯時に骨を削る量も異なります。そのため、あまり腫れない方もいれば、大きく腫れてしまう方もいます。

ですが、抜歯後1ヶ月が経過しているのに腫れが引かない場合は、感染している可能性があるので、抜歯した歯医者さんに行きましょう。

2.痛み・腫れ以外の症状

1)口が開けにくい

抜歯後2〜3日が症状のピークで、その後1週間程度で徐々に引いていきます。
口を開閉する時に使う、咀嚼筋という筋肉に炎症が起こることで、一時的に口が開けにくくなります。

2)のどが痛い

親知らずは、歯の中で一番のどに近い場所にあるので、ものを飲み込む時に痛むことがあります。
抜歯後2〜3日がのどの痛みのピークで、その後1週間程度で徐々に引いていきます。

3)口・唇・舌の感覚が麻痺する

抜歯後、口・唇・舌の感覚が麻痺することがあります。
歯科医師が最も注意しているのは、感覚の麻痺です。
詳しくは、下記でご紹介します。

3.麻痺が起きた場合

抜歯した後、麻酔が切れてからも口・唇・舌の感覚が麻痺していることがあります。

人により、抜歯した後5時間程度が経過しても、麻酔が効き続ける方もいます。
ですが、
・抜歯した翌日になっても、痺れた感じが取れない
・唇・顎の皮膚を触った感覚が鈍い、または触った感覚がない
・抜歯後、知覚過敏になった
・親知らずより手前の歯に違和感がある

といった症状がある場合は、神経の麻痺が疑われるので、すぐにその旨を抜歯した歯科医院の主治医に伝えましょう。
その後の対応は、神経の損傷具合で変わります。

麻痺が起きる原因に「下歯槽神経」という神経が関わっています。
親知らずは他の抜歯と違い、「下歯槽神経」という神経の近くまで骨を削ることが多いです。
抜歯の途中で、下歯槽神経を手術用の器具で切削してしまう、神経管と親知らずが接している、などの場合に麻痺が起きます。
そのため、親知らずを抜歯する前に、・神経と親知らずがどれくらい近いか・神経管と接している場合は、神経管の変形具合はどんな感じか
をX線で撮影し、抜歯するか否かの判断を行います。

三日月型のように、神経管の変形が強い場合は、歯の上の部分だけを取る方法や、二段階法、という方法を検討します。(現在、二段階法は抜歯後感染のリスク回避などのため、行っている歯科医院も少ないようです)

1)抜歯後の腫脹で神経を圧迫している場合の対処法

治癒する過程で、歯の抜けた穴に血液が溜まり、露出した神経を圧迫することがあります。基本は、メチコバール(ビタミンB12製剤)という薬を服用することで、数日で症状がおさまっていきます。

2)神経が部分的に損傷している場合の対処法

神経が部分的に歯と癒着していると、抜歯の際に神経の一部が親知らずにくっついていってしまい、神経が損傷したり、抜歯時に神経管の薄い骨が折れて、それが神経の一部を損傷したり、という抜歯時の動作によって損傷が起きます。
こちらも、まずはメチコバール(ビタミンB12製剤)を処方し、治癒をさらに促進するために、「星状神経節ブロック」という注射を行ったりすることがあります。(治癒期間はおよそ6〜18ヶ月程度必要と言われています)

3)神経が断裂している場合の対処法

切削器具や刃物によって、神経が切断されることで麻痺が起きることがあります。その場合は、術後になるべく早く、神経をつなぐ処置が必要です。しかし、大学病院などの専門的な機関での処置が必要で、タイミングを逃してしまうことも多いです。その他の治療法は、部分損傷の場合と同じメチコバール(ビタミンB12製剤)を処方し、「星状神経節ブロック」の注射を行ったりします。神経が断裂した場合は、完全な治癒は見込めないとされています。

4.親知らずは抜いた方が良いか?

「まっすぐに生えていない親知らず」は、抜いた方が良い可能性が高いです。

ですが親知らずは、闇雲に真横に生えた親知らずだから抜歯した方がいいわけではありません。

抜歯しようとしている親知らずと、神経との距離の近さによって状況が変わるのと、年齢が高いほど骨が硬くなっているので、抜歯の難易度が上がります。

歯科恐怖症の場合は、親知らず抜歯で歯科医院がトラウマになってしまったり、全身疾患がある場合は、その後合併症の危険性もあります。

これらのリスクをなるべく回避する方法は、年齢が若いうちに歯科医院に相談しておくことです。
若年層の場合は年齢によって難易度が上がることがなく、若年層の方が全身疾患になっている割合も少ないです。
神経管の変形が三日月型の場合に行う二段階法という方法も、若年層の方が成功しやすいです。

また、部分的に神経を損傷した場合も、若年層の方が回復が早いです。

相談せず放置してしまい、隣の歯はむし歯になり、親知らずも痛くて抜かざるをえない、という状況が最も最悪です。
まずは、お近くの親知らず抜歯を行なっている歯科医院で、抜歯前にきちんと相談することをおすすめします。
親知らず抜歯でお困りの際は、お気軽にご相談くださいね。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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