親知らずって抜いた方が良い?

・親知らずは抜いた方がいいと言われているけど、その理由が知りたい
・抜いた際に起こりうることは?それを防ぐ方法はある?
など、さまざまな疑問があるかと思います。

今回は、親知らず抜歯のリスクなどについてご紹介します。

1.親知らずは抜いた方が良い?
2.親知らずを抜いた場合のリスクは?
3.感覚の麻痺が起きた場合は?
4.リスクと利益を天秤にかけて判断する

1.親知らずは抜いた方が良い?

A.「真っ直ぐ生えていない親知らず」は抜いた方が良い可能性が高いです。

理由は、下記の3つです。

①親知らず自体がむし歯・歯周病になりやすいから
②隣の歯がむし歯・歯周病になりやすいから
③噛めない歯は基本的に必要ないから

どれくらいむし歯・歯周病になりやすいかというと、

親知らずを残した中高年の8割近くがむし歯になっています。
機能しない歯を残すことで、隣の歯がダメになってしまうリスクを上げてしまうのは、とてももったいないことです。

歯周病も同様で、放置すればするほど悪化しやすく、親知らずの多くが歯周病で腫れて抜歯が必要になります。

これらの症状が出るほとんどは「真っ直ぐ生えていない親知らず」です。

2.親知らずを抜いた場合のリスクは?

では、抜いた場合に起こりうることをご説明します。
抜いて何も起きる可能性がないのであれば良いのですが、医療行為には必ずリスクがつきものです。

親知らずを抜いた場合に起こることとして

①腫れ(抜歯後2〜3日がピーク、1週間程度で引いていく)
②痛み(抜歯後2〜3日がピーク、1週間程度で引いていく)
③口が開けにくい(抜歯後2〜3日がピーク、1週間程度で引いていく)
④喉が痛い(抜歯後2〜3日がピーク、1週間程度で引いていく)
⑤ドライソケット(骨が露出すること・1ヶ月近く痛むこともある)
⑥口唇・舌の感覚が麻痺する(詳細は後ほど記載します)

などがあります。

症状としてはほとんどが2・3日〜1週間でおさまることが多いです。
また、ロキソニンなどの鎮痛薬を服用すれば、そこまで支障が出ないことも多いです。
歯科医師が最も注意しているのは、感覚の麻痺です。
親知らずは他の抜歯と違って、下歯槽神経という神経の近くまで骨を削ることが多いです。
人為的な場合、下歯槽神経をバーで切削してしまうことで起きます。

他には、神経管と親知らずが接しているような場合に起きます。
そのため、
・術前にどれくらい神経と親知らずが近いか
・神経管と接している場合は、神経管の変形具合を見た上

で抜歯するかどうかの判断を行います。

三日月型のように変形が強い場合は、歯の上の部分だけ取る方法や、二段階法を検討します。
現在は、二段階法をやってる病院も少ないようです。(抜歯後感染のリスク回避などのため)

3.感覚の麻痺が起きた場合は?

・抜歯した次の日になっても痺れた感じが取れない
といった症状がある場合は、すぐにその旨を主治医に伝えましょう。
その他の症状としては、
・唇〜顎の皮膚を触った感覚がない・知覚過敏
・親知らずより手前の歯の違和感・知覚過敏

があり、神経の損傷具合で対応が変わります。

ー術後の腫脹による神経圧迫の場合ー
治癒過程で血液が抜歯窩に溜まり、それが露出した神経を圧迫することがあります。
基本的にはメチコバール(ビタミンB12製剤)という薬を処方し、数日以内に治癒します。

ー神経の部分損傷の場合ー
神経が部分的に歯と癒着していると、抜歯する際に神経の一部が親知らずについていってしまい、損傷したり、抜歯操作時に神経管の薄い骨が折れて、それが神経の一部を損傷したり、といった抜歯時の操作によって起きます。

こちらもまずはメチコバールを処方し、治癒をさらに促進するために、星状神経節ブロックという注射を行ったりすることもあります。
(治癒期間は6~18ヶ月程度と言われています)

ー神経完全断裂の場合ー

切削器具や刃物によって切断されることで起きます。
術後なるべく早く、神経をつなぐ処置が必要です。
しかしながら、大学病院などの専門的な機関での処置が必要で、タイミングを逸してしまうことも多いです。
他の治療としては部分損傷の場合と同じです。
完全な治癒は見込めないとされています。

4.リスクと利益を天秤にかけて判断する

ただ闇雲に真横に生えた親知らずだから抜いた方がいい、というわけではありません。
年齢が高いほど抜歯の難易度は上がります。
歯科恐怖症がある場合は、トラウマになってしまうこともあります。
全身疾患がある場合は合併症の危険性もあります。
神経との距離もこれらのリスクの1つです。

これらのリスクをなるべく回避する方法は、年齢が若いうちに相談しておく、ということです。

若ければ年齢による難易度の上昇もなく、全身疾患の割合も少ないです。
神経管の変形が三日月型の場合の二段階法も、若い方が成功しやすいです。

また、部分損傷した場合の回復も若い方が早いです。
相談せず放置してしまうと、隣の歯はむし歯にもなってることが多く、親知らずも痛くて抜かないといけない、という状況が最も最悪です。
まずは、お近くの親知らず抜歯を行なっている歯科医院で相談することをおすすめします。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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