歯周病での抜歯を回避できる!歯を残すための外科治療

今回は、さまざまな歯周外科のお話をさせていただきます。

1.歯周外科治療とは
2.フラップ手術
3.歯肉根尖側移動術
4.歯周切除術・整形術
5.歯冠長延長術
6.歯周組織再生療法
7.歯肉歯槽粘膜治療
8.分割抜歯

1.歯周外科治療とは

「歯周外科治療」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、「歯周治療」と言うだけあって、歯周病の患者様に対して行います。
歯周病とは歯茎の病気だと思いがちですが、実は、歯茎の下にある骨の病気を歯周病と言います。
お口の中の細菌が原因で炎症が起こりることを、歯周病と呼んでいます。
日々のケアで歯周病菌の除去が不十分だと歯周病は進行し、骨が溶けていき、重度の歯周病になると歯が抜けてしまったり、口臭、歯並びの変化などが起こります。

軽度の歯周病(歯茎の一部の炎症)であれば歯みがきの改善や、定期検診で改善が可能です。
しかし、歯周病が進行していくと、普段のお掃除でのバイ菌の除去が難しくなり、さらに歯周病が悪化することがあります。

歯周外科治療とは、このようなお掃除が困難になった歯周組織のバイ菌を取り除くことと、お口のお掃除をしやすくする目的として行う外科治療のことを言います。

歯周病検査では、初診時に下記を調べます。

【歯周病検査で調べること】

1 歯と歯茎の間にある歯周ポケットの深さ
2 歯の周りの骨の吸収度(レントゲンなど)

その後、歯みがき指導や歯科医院でのお掃除などで、お口の環境を整えていき、お口の環境が改善された状態でもう一度、再検査を行ないます。
軽度の歯周病であればこの時点で改善、もしくは安定した状態になります。

しかし、骨の吸収が大きい箇所や、お掃除がしにくい箇所は症状が改善があまり認められず、今後も歯周病が進行してしまいます。
改善の認められなかった箇所の歯周組織には、歯周外科処置を行なっていきます。

2.バイ菌・歯石を除去する、フラップ手術

フラップ手術は、歯茎を切開し、歯茎の上からの歯周病治療では除去できないバイ菌や歯石を除去し、 炎症がある歯周組織の除去と、バイ菌がつきにくい状態を作ります。

メリット
・傷口が塞がれた状態で手術が終わるので
・見た目の変化が少ない
デメリット
・場合によって
・バイ菌を完全に除去することが難しい

3.歯周ポケットの改善を行う、歯肉根尖側移動術

歯肉根尖側移動術は、被せ物を行う予定の歯に行います。
歯周ポケットが深くなってしまった部分の改善と、お掃除がしにくい部分の改善を行います。

メリット
・お掃除がしやすい状態の歯茎になる
・歯周ポケットの再発が少ない
デメリット
・見た目の変化が大きい
・しみやすくなる場合がある

4.歯茎を形成する、歯周切除術・整形術

歯周切除術・整形術は、お薬などで歯茎が増殖してしまった場合などに行います。
歯肉が厚くなった骨の吸収はないが、ポケットがある部分を改善するため、歯茎の切除・形成を行います。

メリット
・お掃除のしやすい歯茎の状態になる
デメリット
・歯周病再発の可能性がある

5.被せ物を被せられるようにする、歯冠長延長術

歯冠長延長術は、クラウンレングスニングとも呼ばれます。
歯冠長延長術、被せ物を行う予定の歯に行います。
被せ物が合っていなかったり、歯茎の下に虫歯があると、歯周病が悪化する場合があります。
そのために歯茎と骨を整えて歯茎の下の虫歯の除去を行い、ピッタリと合う被せ物を被せられる環境にすることが目的です。

メリット
・歯茎の下の虫歯が除去できる
・抜歯しなくて良い可能性が増える
・見た目が改善する(場合による)
デメリット
・歯がしみやすくなる可能性がある
・見た目が悪くなることがある(場合による)

6.骨の再生を行う、歯周組織再生療法

歯周組織再生療法は、垂直に骨の吸収がある場合、骨の再生を目的に行う手術です。
歯肉を開いて、炎症のある組織を除去し、その中に、骨の再生を誘導する製剤を入れて、骨を再生したい部分に歯茎が入り込まないように膜を敷きます。
骨の再生には骨移植とエムドゲインというタンパク質製剤を使用します。
骨の移植に使用する骨製剤は、その方の状態によって使い分けをします。
自家骨→お口の中のさまざまな部分から採取した自分の骨
他家骨→人由来の骨
異種骨→動物由来の骨
人工骨→人工的に作られた骨
エムドゲインはジェル状の液体のため、骨の欠損状態によっては骨製剤を併用する場合があります。

メリット
・骨の再生が見込める
・歯茎の理想的な形状が見込める
デメリット
・手術部位が大きい

スクリーンショット 2019-07-26 1.06.23

7.状態の悪い歯茎の形成を行う、歯肉歯槽粘膜治療

歯茎が下がっている場合や、お掃除がしにくい歯茎の形の改善を目的として行う手術です。
歯肉歯槽粘膜治療には、「遊離歯肉移植術」と「結合組織移植術」があります。

遊離歯肉移植術は、硬い歯茎が少ないお掃除がしにくい歯茎の形の改善を目的として行われます。
特に奥歯に行くにつれて、硬い歯茎の少ない、お掃除がしにくい歯茎の部分で行われることが多いです。
手術部位を開き、上顎の歯茎から上皮と言われる組織のついた歯茎を採取し、手術部位に移植します。

メリット
・一度の手術で広範囲の処置が可能
・お掃除がしやすい歯茎の状態にできる
デメリット
・手術部位が2箇所になる(移植する部位と歯茎を取ってくる部位)
・移植した歯茎の色などが周囲と違うことがある

結合組織移植術は、歯茎が下がり、歯の根っこが露出してしまった部分の歯茎を再生する目的で行われます。
前歯部分などの歯茎や、骨の薄い箇所で行われることが多いです。
手術部位を開き、遊離歯肉移植術と同様に、上顎の歯茎から上皮と言われる組織のついた歯茎を採取し、手術部位に移植します。

メリット
・採取した歯茎に血液の供給が十分であれば、手術の成功率が高い
・歯茎の色が異なるという、審美性の問題が、遊離歯肉移植術よりも気にならない
デメリット
・手術部位が2箇所になる(移植する部位と歯茎を取ってくる部位)
・上顎の歯茎が薄いとできない場合がある

8.歯の根っこの感染を改善する、分割抜歯

奥歯の歯は根が分かれており、その股の部分にバイ菌の感染が起こることがあります。
その場合は、歯周組織再生療法や歯の分割・抜歯などを行なって、股の部分のケアのしやすさを改善する方法が適用となる場合があります。

以上のように、歯周外科治療には多くのものがありますが、どの治療方法が適用か、どのようなリスクがあるのかは患者様それぞれによって変わってきます。
また、歯周病の改善・予防には普段からお口の中の状態を良くしておくことが大切です。
そのためには初期治療(虫歯治療・歯みがきのチェック・歯科医院でのお掃除)を行ったのち、必要であった場合は歯周外科を行い、治療が終わった後も定期検診を継続することで、健康なお口の中を保つ事ができます。

歯周病の症状が気になっている方は、お気軽に当院スタッフにご相談ください。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

浦安(千葉)で
予約する
丸の内(東京)で
予約する
国東(大分)で
予約する

最近の記事

  1. 2024年6月の休診日

  2. 2024年6月の専門医出勤日

  3. Q.歯を磨いているのにむし歯になる理由は?

アーカイブ
TOP